ミニ・トピック
チャック・オーバビー2007日本講演

平和のための退役軍人の会による合衆国憲法修正案について(仮訳)

日本の友人の皆さん、本日私は、小さいけれども1つの希望、これを皆さんと分かち合いたいと思って、携えて持ってまいりました。それは、あなたの国の第9条をモデルにした、アメリカ合衆国憲法修正提案書です。

平和のための退役軍人の会(VFP)というのは、私が所属するアメリカ退役軍人の会ですが、2006年8月シアトルで開催された、その全国大会で決議を得、上院議員100名、下院議員435名、合衆国連邦議会の全ての議員に、このアメリカ合衆国憲法の修正案を、この度、ここに至るまでに数年間かかりましたが、私は送ることが出来ました。

平和のための退役軍人の会は、比較的小さな退役軍人の会です。全米で、たぶん5千から6千名の会員数です。しかし、ブッシュ大統領と彼のネオコン(コン(詐欺)を働いたという意味でもその名の通り)たち(女性もいます)が、私たちを苦しめているイラクの惨事のために、アメリカに対する幻滅が広がった結果、その数は増え続けています。

退役軍人の会の中には、会員数が100万人を超えるものもありますが、それらは、私からみると愛国排外主義的な感じのところです。VFPは、退役軍人の組織としては全く異なった種類のものです。この文章の最終部分に「VFPの(5つの)目的」を掲載しました。この5つの目的の5番目に注目してください。第9条が日本で実行していることをVFPはやろうとしています。つまり「国家の政策の道具としての戦争を廃止すること」。

日本国憲法の美しい第9条をモデルにした、合衆国憲法の修正案を何とかしてアメリカ合衆国議会に届ける方法はないものかと、私はもう何年も夢に見てきました。

私は、これまで、個々の連邦議員に提案を送り、せめて私の提案が連邦議事録に残るように議会で読み上げて欲しいと頼んできました。私は手紙を、アメリカの戦争政策や行動に批判的な連邦議員達(MOC)を中心に送りました。悲しいことに、ただの一人も、それに返事をよこしませんでした。

ですから私は、私のVFPの仲間たちが、ついに私に、全ての連邦議員にこの合衆国憲法修正案を送る権限を与えてくれたことに、豊かな喜びを感じています。今回、あなたの国の9条を擁護するために日本を訪問しますが、日本に到着するまでには、535通の手紙がワシントンに向かって郵送されているはずです。この資料の最後に、この手紙で送った同じものを皆さんにお見せします。それは、[1]VFP代表・Elliot Adams氏の署名がある平和のための退役軍人の会の手紙。[2]合衆国憲法修正案そのもの、の2ページから成っています。

もう1つ、皆さんにお話したいことがあります。私は、これらの535通の手紙の全てに、私の署名の入った「Sadakoと第9条の平和の折り鶴」を同封しました。私はこの折鶴をたくさん作って、日本に持っていきます。その中のいくつかを、広島の平和記念公園にある禎子像『原爆の子の像』に飾りたいと思っています。

私は私の住むオハイオ州アセンズのユニタリアン教会の仲間達数名と、近所の二人の子ども達、クリストファーとジョナサンに手伝ってもらって、日本に持っていく千羽の折鶴を、千羽よりもっとたくさん、折りました。さらに、彼らの他にもユニタリアンの仲間やオハイオ大学の数名の学生達が、「連邦議員に手紙を送る作業チーム」を結成して私を助けてくれました。5月17日の夕方、535通の国会議員あての手紙を全て封筒に入れます。5月17日はノルウェーの独立記念日です。1905年のこの日、ノルウェーとスウェーデンは、非暴力的に(と思います)別れて二つの国になりました。私の両親(マチルダとマーチン)は、19世紀末から20世紀初頭に掛けてノルウェーからアメリカに移民しました。

 あなたの国の第9条は、過去60年以上、戦争で人を殺すことを日本にさせないという能力において、自分の役割を十分に発揮する、たいそう素晴らしいものです。(注1)(あまりに素晴らしすぎて)私のVFPの友人すら、全く第9条と同じの戦争放棄の憲法修正は、アメリカの最初の試みとしては、あまりに贅沢であると、少し心配しました。ですから、VFPは、私の最初の憲法修正案を、ほんの少し、変更しました。メ一斤ではなく半斤モという言葉を借りれば、私は、一斤(100%望みがかなうこと)ではなく、半斤(望み半分だけかなう)をVFPから受け取ったのです。しかし、今回はメ半斤モだけ受け取ったことに、この上なく感謝しています。一斤のパンは半斤のパンにまさる。少し説明します。

「憲法修正案」の第3パラグラフの二行目には、「明確で差し迫った威嚇又は侵略から国土を直接防衛することで使う以外は」という言葉があります。これらの(英語の単語数で)17語は、私から見れば、基本的に全く意味のない言葉です。つまり、政府にとって、市民の絶大な支持を受け戦争ゲームを続けるために、莫大な量の宣伝や嘘で、これらの言葉の裏をかくことは何でもないことだからです。ブッシュの「ショックと怖れ」という惨憺たるイラク作戦への支持を得るために、02年から03年初頭にかけて、ブッシュの嘘と宣伝が機能して、アメリカ市民に魔法をかけた絶好の例を我々は目撃しました。私の最初のVFPへの案の中には、これらの逃げ口上に使うあいまいな言葉はありませんでした。第9条の中にもこれらの17語はないでしょう。

皮肉にも、興味深いのは、日本の9条にはこれらの17語がありません。そして、それらがないからこそ、その抜け道を考え出すことを、日本がやりにくくするために助けになっているのです。だからこそ、日本が自衛隊をアメリカの選ぶ戦争へ加わらせることを困難にさせているのです。あなたの国の第9条を骨抜きにすることで、安倍やアメリカの9条無力化主唱者にとっては、このやっかいな問題が解決されてしまうのです。

第9条をモデルにした合衆国憲法の修正という、この重要なプロセスを始めるために、私は、これらの17語を入れるというVFPの編集を受け入れました。これらの17文字が入らない修正案を100%の望み(一斤)とすれば、これら17語の入った修正案は、半分の望み(半斤のパン)だと思います。しかし、このVFPの憲法修正提案は、とても長いプロセスの始まりである、とも思っています。確かに私は、私や私の子どもの生きているうちに、アメリカで第9条の憲法修正が行われるのを経験できると考えるほど若輩ではありません。−しかし、この地球上の全ての国々がこれを行わなければ、しかも今すぐに、− 我々は、火星と同じく生命のない惑星になる運命にあると、私は確信しています。

平和のための退役軍人の会 (VFP)の目的

国家のための義務を守り軍務に服した我々は、ここに、世界平和の大義に仕えるという更に大きな責務があることを断言する。この目的のため、我々は他者と協力し、

[a] 戦争の犠牲への一般の人々の関心を高めるために働く。

[b] 他国の内政問題に、公然であれ、隠密であれ、わが国政府が干渉することを抑止するために働く。

[c] 軍拡競争を終わらせ、核兵器を削減しついには廃絶させるために働く。

[d] 戦争の犠牲者や退役軍人が正しく処遇されるために働く。

[e] 国家の政策の道具としての戦争を廃止するために働く。

これらの目的を達成するために、VFPの会員は、世界の平和というより大きな目的のために、全ての会員は会のためになる行動をすると信頼されていることを理解し、非暴力の方法を用いること、民主的でオープンな組織を維持することを誓う。

(注1)私の友人であり、仲間でもある、ダグラス・ラミスが述べているように、第二次世界大戦終了以後、「日本国家の交戦権という権威のもとに、殺されたり負傷した人間は一人もいない」