チャック・オーバビー 2007年日本講演

「国境なき憲法9条の魔法に思いを馳せよう」

(1) 9条を愛する日本のみなさん、こんにちは。19世紀イギリスの文豪チャールズ・ディケンズはフランス革命を舞台とした小説『二都物語』の冒頭で次のように言っています。
「それはあらゆる時代を通じて最良の時代であるとともに最悪の時代であり、叡知の時代であるとともに、愚者の時代でもあり、光明の時節であって、また、暗黒の時節であり、希望の春であって、また、絶望の冬でもあり……」

(2)今まさに、日本の安倍晋三首相は「全人類の宝」である憲法第9条を滅ぼそうとしています。そして、その動きに熱心に肩入れし、加速を促しているのがブッシュ大統領とその側近の「ネオコン」主義者達なのです。私には現在が「最良の時代」とも「叡知の時代」とも「光明の時節」とも到底感じられません。ただ、「最悪の時代」「愚者の時代」「絶望の冬」があらゆる次元で展開し、憲法9条の生命を脅かしていると感じるのみです。

(3)しかし、この「最悪の時代」「愚かさ」「暗黒」「絶望」と言う時代の中で、状況に怒りや憤りを覚え、その感情が「希望の萌芽」となり、新たに夢や創造性を生み出し、暴力という手段に訴えることなく憤りや絶望を克服することができるかもしれません。まずは手短に今日の「絶望的状態」について2、3の側面で検討し、その後に希望や可能性の中核となりうるものは何か?ということについてお話したいと思います。
 具体的には i)憲法9条を模範とした「平和のための米国退役軍人」(VFP)米国憲法修正案 ii)現代の人間及び地球が抱える問題を、暴力や軍事力に訴えることなく解決できるように、日本が憲法9条を名誉の印としてえ携えて世界の指導的役割を果たして欲しいという私の夢についてお話したいのです。(ほとんどが軍事的解決などありはしないのです。)

(4)まず、私の愛するアメリカの作家にカート・ヴォネガットがいます。彼に感化されてチャールズ・ディケンズの冒頭の一節を今回使用したわけですが、そのいきさつについてご紹介しましょう。ヴォネガットは2007年2月に書いた原稿に「最良にして最悪の時代」の件を引用しました。残念ながら、4月11日それを実際に発表することなく、ヴォネガットは帰らぬ人となりました。しかし、彼の息子であるマーク・ヴォネガットは父親の葬儀でこのアメリカの創造的、偶像破壊主義作家を偲んでその原稿を読み上げました。ここにヴォネガットの最後の原稿の抜粋をご紹介します。残念なことに、その文はアメリカ文化を見事に捕らえていますが、また同時にその枠を越えて地球全体が盲目的に信仰しつつあるいわゆる「自由市場の神」の文化をあまねく表現しているといっても過言ではないでしょう。

今夜は良い話と悪い話がある。現代は最良にして最悪の時代だ。それで、一体何が起こったというのだ。悪い話は、火星人がマンハッタンに上陸してウォルドルフ・アストリアホテルにチェックインしたということだ。良い話は火星人は有色人種のみを食し、尿の成分はガソリンだいうことだ。
(5) 現代社会の病巣の例をあげようとすれば枚挙に暇がありませんが、その代表例としては私達が今頭を悩ませている日米政府の憲法第9条破棄を狙うたくらみであり、また、万が一第9条が骨抜きにされてしまった場合、アジアに落とされるであろう暗い影でしょう。

(6) はじめに、残念ながら今日本で展開している事実についてお話します。次に私自身の81年間のアメリカ市民としての経験に基づき、また2つの戦争(第二次世界大戦と朝鮮戦争:朝鮮戦争ではB29のパイロットでもありました)に参戦した人間として不名誉なアメリカ文化について触れたいと思います。そして、最悪の時の中で生まれた「愚かさ、暗黒、絶望」から救われるには日米両政府の9条殺しを許すことなく、 9条が全人類にとっていかに重要であるかを伝えていかなければならないという私の夢と希望について述べていきます。その際に、どのような文献が参考になるか?ということについてもご紹介していきます。全部英語の文献であることはご了承ください。

安倍首相についての悪い知らせ
(7)安倍首相は憲法9条を改正するために国民投票法案を通過させた、その異常な熱意は私のような外人には理解しがたく、恐ろしく、また極めて遺憾なものです。

(8)まず、理解できないこととしてアメリカではどのマスコミ媒体を通しても、また図書館のシステムを利用してさえも、国民投票法案の情報を入手することができなかったことです。新聞、週刊誌、またはオハイオ大学のアルデン図書館を使って、国民投票法案の英語版をさがそうとしました。そうすれば内容が分かると思ったのです。『ジャパンタイムズ』で法案に対する賛否両論を目にすることはありましたが、その断片的な情報を読んでも理解することはできませんでした。日本人の学術関係の友人や、一般の友人にもお願いしてあれやこれやと送ってもらいましたが法案の完全訳を手にすることはできませんでした。

(9)ですから、9条を愛するご友人の皆さん、残念なことに9条を死に追いやろうとする最近の政府のたくらみについて、私はあまりよく理解していないのです。安倍首相の国民投票法案もそうですが、愛国心という文言を盛り込むか否かで紛糾した2006年教育基本改正法についてもあまり知らないのです。ですから、日本にいる間に皆さんからこの件については多くを学びたいと思っています。

(10)今、アジアや世界各国で軍拡競争が再び台頭し、大きな不安要素となっている状況に 私は怒りと恐れを感じます。もし、いつか日本が第二次世界大戦に占領した国家に対して約束した国権の発動たる戦争の放棄を無効にしてしまうようなことがあれば更にその不安は広がることになるでしょう。そして、その約束こそが憲法9条です。

更に悪い知らせ—アメリカブランド
(11) アメリカ政府は表から裏から日本政府に圧力をかけて憲法9条を抹殺させ、日本人兵士がアジア地域のみならず世界全土で人殺し可能になるように働きかけています。保守派である日本の安倍新首相は戦争というものを全く知りません。彼は戦後生まれの政治家であり、日本の主要な都市が爆撃にあって壊滅状態になったことや、当然広島、長崎に核兵器が投下されて廃都と化したことは知る由もありません。安倍首相は憲法第9条を骨抜きにし、日本が世界中で制限なくアメリカの軍事行動に加担できるように準備を整えています。しかし、残念なことにこれらどの状況を見ても軍事制裁は解決法にはなりません。

(12) もちろんアメリカ側は恒久的に日本の有事には支援を惜しまないなどと愚かなことを言っていますが、その一方でアジア各国は現状を不安視していますし、日本が憲法第9条を破棄するという事態に備えて軍事の増強を図っています。チャルマー・ジョンソンがかつて言ったように、憲法第9条自体が日本の近隣諸国への謝罪であり、第二次大戦での行為に対しての世界の人々に対しての罪の贖いであると思います。他のどの先進国も試みなかった憲法第9条にこめられた贖罪の気持ちはアジア地域の安定に大きくつながっているのではないでしょうか?

(13) 日本が憲法9条を抹殺させ、アジアに新たに軍拡競争が勃発するようなことがあれば、アメリカの武器製造会社が魅力ある投資先として株価が上昇することになるでしょう。もうすでにレイセオンのような武器製造会社はブッシュ大統領の傲慢極まりない北朝鮮への一カ国的軍事行為により巨大な富を構築しています。2006年の夏、アメリカは弾道弾ミサイル防衛の名目でレイセオン製パトリオットインターセプターミサイルを80機購入することを日本に持ちかけ、明らかに日本はそれに応じました。レンセオンの株主達笑いが止まらなかったことでしょう。

更に悪いニュース—石油の備蓄戦争
(14) アメリカは現在、ハイテクを駆使した「Shock and Awe(衝撃と畏敬:圧倒的な優位性を見せつけて相手を麻痺させるというイラク戦争の作戦名)」という先制攻撃をイラクに仕掛け、交戦状態にあります。(目的は主に石油です) このような戦争が可能になってしまった背景には政府がナチスで宣伝大臣を務めたゲッベルスのようにウソとプロパガンダを重ねてきた経緯があります。このような石油資源戦争に明け暮れている間に、本来ならもっと真剣に取り組まなければならない本当の問題がないがしろになっています。本来であればアメリカをはじめとする各国の不経済な無駄の多い資源の消費パターン、生態圏汚染、地球温暖化のシステムにもっと情熱を傾けるべきなのです。太陽光発電といった大きな可能性を秘めた代替技術は技術的に進捗しましたが、更に研究開発を進め、製造量を増やし、輸出を振興していかなければ、道半ばで頓挫してしまいます。GTBD(Green Technology By  Design)と私がよんでいる技術はいずれもこのような状況です。今回「憲法9条と資源戦争と地球温暖化防止について」というミニトピックも執筆しましたが、そのなかでGTBDについても触れています。

(15) 自分の行動を改め豪奢な生活を節制しようとはせず巨大な軍事力で石油の市場への流れを加速させようとしているのです。しかしここに自由市場の大きな落とし穴があります。いわゆる制限のない自由市場では輸入石油額に軍事費の助成金は全く反映されていません。エンジニアがエンジニアリングエコノミーの計算をする際、「満足と痛みの計算」である費用便益計算をしますが、表には出てこない助成金に配慮せずに計算を行なえば誤った結果につながります。

(16)またこのエンジニアリングエコノミーの計算に長期的悪影響、次世代へのコストがどの技術システムを採用するかによってどう違うかという外部性コストをエンジニアリングエコノミーに取り入れることは非常に難しいのです。いわゆるディスカウントキャッシュフローという複利計算法で将来を安売りしているのが現状です。

更に悪い知らせ—RRW
(17) アメリカ政府は当然全世界に核兵器が拡散することを懸念しています。現在は北朝鮮とイランに集中していますが、パキスタンやインドで核開発が進行している事には目をつむっていますし、結局イラクには核兵器はなかったことも都合よく忘れています。イラクが核を隠し持っていることは「衝撃と畏敬作戦」.のひとつの重要な根拠だったはずです。しかし、その根拠はブッシュ政権のネオコン政治家達のイデオロギー的なご都合を満足させるための諜報に基づいたものであったことが徐々に分かりつつあります。

(18) その一方でアメリカは「信頼性代替弾道:Reliable Replacement: Warhead (RRW)」や「コンプレックス2030」により核兵器の整備を行い世界の核不拡散活動を更に危機的状況に追い込んでいます。

(19) RRWと は老朽化した1万の核兵器を最新鋭兵器に入れ替えようというものであり、「コンプレックス2030」はアメリカの核兵器製造システムの増強に長期的に1500億ドル投入しようという計画で、2030というのはそのプログラムが完了する年を示唆しています。

(20)FCNL (Friends Committee on National Legislation)  は「国内の科学者が数千億ドルという研究費で次世代の殺傷能力の極めて高い核兵器を開発しているのに、どう他国に向けて核兵器の製造はやめましょうと説得できるというのでしょうか?」と嘆いています。

更に悪い知らせ アメリカの安全保障とならず者国家
(21)アメリカのこのような国際条約の侵害を目の当たりにするとNSS(アメリカ国家安全保障戦略)の中で述べられていた、ならず者国家(Rogue Nation)のことを思い出します。国際条約を守らない国を名指しでそう呼んでいました。もし31ページ構成のこの文書をまだ読んでいらっしゃらないようでしたら、是非とも一読されるとよいでしょう。2002年9月17日、同時多発テロの1年後に発表された文書です。現在に至るまでのブッシュ政権の傲慢で一カ国的な先制攻撃の根拠とされる事が記載されています。National Security Strategy of the United States of America.とインターネットで検索をかけてみると当該ページがでてきます。。

(22)第五章、14ページにならず者国家の定義がいくつか書かれています。それは我々に危害を与えようとする国家、国際法を順守しない国家、近隣諸国を脅かす国家、自らも調印した国際条約を平気で破棄する国家。なんと言うことでょう!この定義はまさにアメリカにぴったりではありませんか?この証明をするために昨今アメリカがいかに国際法を順守せず、調印を行なった国際法を破棄してきたかについて言及してみましょう。
[1] 包括的核実験禁止条約(CTBT)
この条約について、アメリカは批准をしたことはありません。更に地下からの先制攻撃を行なうために小型核兵器の製造を計画しています。新たな一連の核兵器実験の引き金になりかねない恐ろしい試みです。
[2] 地雷禁止条約
[3]化学兵器禁止条約
[4]生物兵器禁止条約
[5] 弾道弾ミサイル禁止条約(ABMT)
ブッシュ大統領は一方的にこの条約から撤退し、ミサイル防衛システムを加速させようとしました。
[6] 武力紛争への子供の関与に関する子供の権利条約の選択議定書
[7] 国際刑事裁判所
[8] 小火器に関するアクションプラン
[9] 京都議定書核不拡散条約(NPT)

更に悪い知らせ 北朝鮮
(23)皆さんが 日本人として北朝鮮に対し特別な不安を持っていらっしゃることはよくりかいしています。その内の2つについて特にお話をしていきましょう。
[1]北朝鮮の日本人拉致問題
[2] 北朝鮮の核兵器、ミサイル開発問題
ですが、その前に朝鮮半島の混乱の元凶について触れておきたいと思います。北朝鮮問題のそのほとんどのところは過去50年のアメリカの政策と深いかかわりがあるのです。北朝鮮についての私の所見はwww.article9society.org  でごらんいただけます。 2003 、2005年に日本でレクチャーをした際の論文に記載しています。

(24) アメリカは過去50年間経済的に弱小国である北朝鮮を威嚇し続けてきました。1953年の休戦協定に代わる平和条約の締結を二カ国間で締結することは拒み続ける一方で核の脅威は与え続けました。アメリカは韓国の前大統領である金大中氏の太陽政策で知られる前向きかつ創造的な対北朝鮮政策を積極的に支持しませんでした。
また、その後継者である盧武鉉大統領が武力ではなく創造的な関与政策を継続させようとした際にも好意的な姿勢は見せませんでした。一部の例外を除いてはアメリカの北朝鮮政策は常に武力による威嚇であり続けました。  

(25) 一握りの例外といったのは、カーター元大統領がクリントン政権の一部から不快感の発言を受けながらも、北朝鮮との枠組み合意の仲介を行なったことがあったからです。枠組み合意とは北朝鮮が核兵器開発の取り組みを中止するかわりにアメリカは対北路線にいくつかの変更を加えるというものでした。北朝鮮問題はゆっくりではありますが、非暴力的手段で解決に向っていくと思われました。しかし、2000年に新大統領としてブッシュ氏が就任し、周囲をネオコンが固めました。またブッシュ大統領はネオコンの急先鋒であるジョン・ボルトン氏を国務大臣(軍備管理、国際安全保障担当)に任命しました。すぐさまアメリカの政策には変化が見られました。北朝鮮が1994年の枠組み合意に違反していると2002年10月に北朝鮮を批判し始めました。2002年10月のブッシュ政権の路線変更には様々な議論もありましたが、対北朝鮮には軍事的なアプローチをしていくという意思表明でもありました。「衝撃と畏敬作戦」でサダム・フセインから核兵器を取り上げようと攻撃をしたのに、イラクに兵器はなかったというあのイラク戦争と同様に、イデオロギー的に偏った諜報に基づいての行動ではないかという不信感を持っています。

拉致問題
(26)拉致問題については拉致された方々やご家族に対しその悲しみはいかばかりかとお察し申し上げます。なんと愚かな北朝鮮の行為であるかと憤りを感じます。一方では、日本の新聞、テレビ、その他のマスコミ、日本だけではなくアメリカでもそうですが、こういう悲劇的事件は新聞の販売額、テレビの視聴率を押し上げます。無味乾燥な堕落した消費生活に耽溺した人々の心の風穴にちょっとした刺激が与えられるのでしょう。

(27) 日本政府もアメリカ政府も本当に深刻な社会問題から国民の目をそらすために悲劇を利用するという手法をよく取ります。または「敵」や「敵となりうるもの」を槍玉に挙げて怒りの的と仕立て、その間に自分は着々と足元を固めるということもよくやります。日本の場合はどうでしょう。憲法9条を骨抜きにしてしまい、何の価値もないミサイル防衛システムに投資しレイセオンのような兵器会社をうるおすのです。2006年8月25日の『ジャパンタイムズ』記載の記事によりますと、80機のパトリオットミサイルを購入すると決定したということです。レイセオンの株主は笑いが止まらないことでしょう。

(28) ジョージ・オーウェルはその著書『1984年』でこの種のマスコミ報道や政府の巧みな操作についても見事に表現していました。

(29)2005年3月テリー・シアボ訴訟がおこなわれました。彼女は不慮の事故で脳死状態となり生命維持装置で機械的に命をつなぎとめていましたが、これがメディアの格好の対象となり過熱報道が行なわれるようにないました。多くのアメリカ人が新聞を買い、テレビに一日中クギ付けになるという日々が続きました。この裁判はブッシュ大統領にはでっち上げの情報に基づいて始まったイラク戦争の失態から国民の目をそらすには格好の題材となりました。

(30) 私は道理の分かった人が強い意思を持って取り組めばこの不幸な拉致問題というのは比較的簡単に解決できる問題ではないのか?と思っています。また、この拉致問題というのもしっかりと森を見ながら対処しなければならない問題です。なにより1910年ー1945年の35年にわたって日本が朝鮮半島を占領してきた過去があることを忘れてはなりません。この占領はセオドア・ルーズヴェルト大統領の仲介によって実現したものですがそのルーズベルトはその功績が認められたという形でノーベル平和賞を受賞しました。なんと言う皮肉な話でしょう。

ミサイル、核兵器について
(31)日本国民が北朝鮮の核兵器、ミサイル開発に不安を感じていることは政府にとって憲法9条を破棄し、価値のないミサイル防衛システムをアメリカから購入する口実として使われています。なんということでしょう!もし私がアメリカの言うならず者国家・北朝鮮の指導者であったなら、もしくは非政府組織アルカイダで核兵器を使用して都市を破壊しようと思っているのであれば日本を通過していったあのお粗末な北朝鮮製のミサイルを使おうなどとは思いません。爆弾を運ぶにはミサイルではなくスーツケースか目に付かないような入れ物にいれて目的地に運ぶことを考えます。アメリカ国防省はアメリカの工学系の大学にミサイル防衛システム研究の提案ではなくスーツケース爆弾防衛システム開発の提案書を提出させるべきでしょう。国防省の新しい税金無駄遣いプロジェクトに終わるのは明らかですけどね。
それでは良い知らせに少し触れてから私の憲法9条にかける夢をお話します。

(32) これまで悪い知らせを列挙してきた訳ですが、そんな中では日本の指導者が、へまばかりしている傲慢な軍事大国であり、国際問題で一カ国的行為に打って出るような我がアメリカと歩調をあわせるこが日本の国益に合致していると何故思えるのか?というのが全く理解できません。何故日本の指導者達はいわゆる「普通の国」に返り咲くためにアメリカのようなならず者国家の言いなりになるのか?と自問自答しています。「普通の国」とは物事を解決するのに世界のあらゆるところに出向いて軍事行為で片をつけようとする国です。私はまだ理解できません。どなたか教えてください。

(33)また、 良い知らせの例を探すのは結構骨が折れます。ここでは私が16年間取り組んできた憲法9条の叡知に学んだアメリカ憲法改正案の議会への申請をよい知らせの例としてご紹介しましょう。2007年5月21日アメリカ議会に535通の書簡を送りました。(内訳:100通は上院、435通は下院)日本の憲法9条に倣った条項をアメリカ憲法に盛り込むことを審議してもらいたいという事と連邦審議記録に載せて欲しいということです。この提案はアメリカ退役軍人組織で、私も所属している「平和のための退役軍人の会」(Veterans For Peace)の承認を受けています。

(34)もうひとつミニトピックを準備しました。4ページの文書でご希望の方にコピーを差し上げたいと思っています。Veteran For Peaceの憲法改正についての提案書で内容は次のようなものです。 [1]経緯について  [2] VFPの議会への書簡  [3] 提案した改正内容 という構成になっています。この場をお借りして改正案についてご紹介し、それ自体を読み上げたいと思います。私はこの提案書を議会に送付したことによって目に見える変化が起こるとは思っていません。しかし、この地球すむ人間がなさなければならない行ないの第一歩であると思っています。そうでなければこの地球は火星同様生物の住めない惑星になってしまいます。では憲法9条に寄せるの夢についてお話しましょう。

良い知らせ:私の夢「国境を越える憲法9条の魔法に思いを馳せよう
(35) この論文の冒頭に最悪の時期、愚者の行い、暗黒、絶望が人々の心を蝕んでいるといいました。しかし同時にその憤りが将来の希望の萌芽となって夢や創造的手段が生まれ武力を行使することなく憤りや絶望を克服できるかもしれないとも言いました。私は日本に夢を持っていますが、安倍首相をはじめとする政治家達が意図する「普通の国」、すなわち軍事力で国際関係を乗り切ろうとか、アメリカの傘下で外交を進めていこうといった類のものでは全くありません。

(36) 私の夢はいつか日本が9条を栄誉の証としての携え、世界唯一の経済大国として日本国憲法の英知を世界に知らしめる機会を得ることです。私達人間が避ける事のできない様々な問題を非暴力、非軍事というやり方で解決することをうたった憲法を世界に紹介したいのです。

(37)憲法9条はもはや日本だけの所有物ではありません。私は9条は戦争とよばれる野蛮で残忍な行為に終止符を打ちたいという人間の悲痛な叫びであると考えています。憲法9条は私達人間が慈しみ、育んでいかなければならない理想であり、それを守ることにより人間やあらゆる生物がこの世界から駆逐されてしまうという悲劇を食い止めることができるのです。その脅威と言うのは
 [1] 多様なエンジニアリングや科学を駆使した大量破壊兵器(WMD)
 [2] 人間が無節操に消費を神と崇め、豪奢な生活を享受したがために発生した汚染問題や地球温暖化問題

(38)もし、 私達人間が憲法9条を実在する可能性のお手本として維持することができれば、この最悪のシナリオはどちらも避けることができるのです。日本が今日の多くの問題に非暴力、非軍事解決法があるのだと世界に示す努力をしても他国に迷惑をかけるようなことは何一つとしてないはずです。それどころか、いち国家が憲法9条にひそむ可能性を解くことが認められ、それを奨励していこうというコンセンサスが世界で出来上がったらそれは素晴らしいことです。

(39) 日本が憲法9条を名誉の印として世界に人間がかかえるあらゆる問題を非暴力的に非軍事的に解決できるのだということを危害にさらされることなく実証してみせれば他国も得るところはたくさんあるでしょう。「危害にさらされず実証する(safely demonstrate)」という言葉を使用したのは日本が実証するのを他国は集団的に保護していかなければならないからです。もし国連の改革が実現して民主的な組織となったら、国連がその後見人となるべきでしょう。

(40) その時が来るまで、まずは手始めに、日本が憲法9条を破棄するのではなく順守し、自衛隊予算については地球上の問題を非暴力、非軍事的な手法で解決できることを実証する活動に転用することにすれば、日本を攻撃することは決してないということを集団的に保証するとアジアの各国に約束してもらうことはできないことでしょうか?地球上の問題とは地球温暖化であり、資源戦争であり、そして世界唯一の被爆国として1970年の不拡散条約(NPT)の第6条、第7条を実施することを意味します。不拡散条約の第6条、第7条を抜粋します。

(41) 第6条
各締結国は、核軍備競争の早期停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、ならびに厳重かつ効果的な国際管理の下に置ける全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。

(42)第 7条
この条約のいかなる規定も、国の集団がそれらの国の領域に全く核兵器の存在しないことを確保するための地域的な条約を締結する権利に対し、影響を及ぼすものではない。

(43) 日本が地球温暖化や資源戦争で世界の指導者となる構想については「憲法9条:資源戦争と地球温暖化の防止」と題し、もうひとつのミニトピックの方で紹介しています。こちらの論文もご希望の方にはコピーを用意します。

(44)『地球憲法第九条』の137ページで、日本が憲法9条を名誉の印として携え、いかに非暴力、非軍事的な手法で世界に平和と正義を実現できるかということについて列挙し、その構想を膨らませています。

(45)
 [1] 予防外交、戦争防止を試み、実施する  [2]人口増加の防止  [3]  社会、経済発展の支援  [4] 世界の飢餓と貧困の撲滅 [5] 大量難民問題の解決  [6] 人権の蹂躙の防止  [7]核兵器を根絶する  [8] 通常兵器の国際売買を禁止する  [9] 非暴力活動、紛争解決の教育 [10] ジン・シャープが提唱した市民に基づく防衛(CBD)で国を防衛する  [11] 天然資源を保全する、環境破壊をなくす、(GTBD)デザインによるグリーンテクノロジーを設計し、製造し、市場化する

(46)安倍首相の目指す道ではなくこのような方向に日本が歩んでいけるようであれば、世界中の人々が感謝をこめて「驚きと畏敬」で日本の行いに拍手を送り、「日本の皆さん、全人類に素晴らしい憲法9条という贈り物をありがとう」といって涙することでしょう。

(47) 残念ながら、世界で憲法第9条を知る人はほとんどいません、更に日本が憲法9条を名誉の証として世界に非暴力、非軍事的な手段で平和や正義を実現できるかもしれないという可能性に気づいている人はもっと少ないのです。アメリカ政府と日本政府が虎視眈々と憲法第9条を亡き者にしようとしているたくらみについても知っている人は世界レベルではないに等しい状態です。アメリカ政府、日本政府のみならず世界中の政府が旧態然とした「交戦権は国家の主権である」という考えに縛られている今こそ、私達は、憲法9条が何たるかを世界の人々に知らせなければならない大きな責任をかかえています。そしてもっと大切なこととして、世界が日本の憲法9条保護や9条が世界のお手本になることに賛成してくれるだけでも大きな成果があるのだ、ということを伝えなければなりません。

(48) そこで、壮大なプランを提案したいと思います。私達は向こう2年の時間枠で10億ドルのお金を調達できるような「何か」をたちあげるのです。具体的にどうしたらいいかを考えなければならないときなのです。そのお金は憲法9条や、日本が平和と正義のためにできる非暴力的、非軍事的な行為を世界に伝えていくために活用していきます。そうすれば、日本が憲法9条を名誉の証として携え、全世界に「戦争による支配」ではなく「法による支配」を実証することも可能になるかもしれません。

(49) 10億ドルあればF-18軍用機が6、7台購入することができます。もし私達が断固とした決心で協力すれば、できなくはないと思います。私はまずその第一歩として自ら5000ドルを寄付します。何をすればよいかというとあと20万人の人に5000ドルずつ寄付してもらえばいいのです。篤志家がいらっしゃれば数は少ないでしょうが、高額な寄付を期待できます。世界に憲法9条のメッセージを世界につたえ、他の方々から憲法9条を助けようという力強いコミットメントをいただくのです。
どうか皆さん考えてみてください。

(50) この資金を使って、有能な広告代理店を雇い、素晴らしい憲法第9条の叡知を世界の人たちに伝える魅力的な手段を考えてもらいます。また、世論をいかに盛り上げ活気に満ち溢れた活動を生み出し、日本政府やアメリカ政府の9条抹殺行為から守っていくかを伝えていくのかについても力を貸してもらいます。

(51ずいぶん長い論文になってしまいました。最後になりましたが、再発行された『地球憲法第九条』の新しい前文の37ページの最初の部分をご一読ください。ここでは、更に将来の明るい展望について触れておきます。
 [1] 憲法9条を守るために若者の創造性と情熱を育てていかなければならない。
 [2] 日本の各地に憲法を保護しようという支援団体が生まれるように、新たな支援者が入りやすい受け入れ態勢で人々に接していかなければならない。特に芸術の才能に恵まれた若者を世界中からメンバーとして迎えることができるかというところを重要視しています。若い方々には特に期待をしています。コンピュータやインターネット、システムが得意という方は是非ともその才能をアメリカ政府、日本政府の憲法9条殺しを世界に伝え、世界がそれを阻止するため立ち上がるのを支援していただきたいのです。地球ファミリーが平和で公正に生活するために、日本が戦争を非暴力、非軍事的手法で阻止し、生態圏の汚染や地球温暖化で世界にお手本が示せるように力を貸してください。

だから、憲法9条を守ることは至上命題です。
憲法9条を死なせてはいけません。


平和
Chuck Overbys