オバービー先生:エンドノート

これは第一草稿です。仕掛品と思ってください。来日直前は雑事に追われ最終稿に仕上げることができませんでした。この最終原稿は帰国してから仕上げwww.article9society.org上にアップロードしますので、2007年秋ごろまでお待ちください。その他のミニトピックについても同時に最終原稿を見ていただけるようにします。

わが母国、アメリカについてかなり辛らつなことを書いています。しかし、私は愛情に満ちた人間であり、決して暴力に訴える人間ではないことをご理解ください。また、私は第二次世界大戦と朝鮮戦争に出兵した兵士でもあります。(朝鮮戦争では戦闘機のパイロットでした)そんな私は、最近のアメリカの傲慢な一カ国的軍事行為に怒りを覚えずにはいられません。私のみならず何百万人というアメリカ国民が「今とは違うアメリカ」を欲しています。つまり、マイケルラーナーの言う非暴力的で節度を持ち、自然に優しい、心優しい、自愛に満ちた関係を地球上に最大限に表現できるようなそんな「コミュニティー」を作りたいのです。

End Note

1:ボネガットはドイツのドレスデンの戦争捕虜として、と殺場だった場所に軟禁されました。ドレスデンでは、1945年に英国、米国空軍がドレスデンに昼夜を問わず爆撃を加えたドレスデン大空襲が勃発しました。たちまち街は火の海となり12万5千人、ほとんど何の罪もない一般市民が亡くなりました。カーティスルメイ(東京大空襲の立案者)の1945年のB-29による東京焦土化作戦でも12万5千人以上の方が亡くなりましたが、これだけの規模の罪のない市民が亡くなったという意味では似たところのある悲劇です。ボネガットの代表作「Slaughterhouse Five」はドレスデン大空襲が舞台となっています。日本語翻訳もあると思います。同タイトルの映画もあります。戦後立ち直った彼は第一流の反戦活動家、文化的偶像廃止論者となったのです。

ボネガットと同様に私の最も愛するアメリカ人作家はマークトウェインです。オーウェンが予測した「恒久的戦争」、多くの「巻き添え被害」を生み出したブッシュの「先制攻撃」を経験してしまった現代において、せめてマークトウェインの「戦争の祈り」を唱えたいと思います。マークトウェインは1899−1902のアメリカ初期の帝国主義活動であるアメリカスペイン戦争を憂えてこの祈りを書きました。

2:国民投票法案の英語訳を探すにあたって、オハイオ大学の政府文書管理部や国務省、国防省をあたれば簡単に見つかるものと思っていました。アメリカ政府が直接または間接的に日本政府に圧力をかけて憲法9条を抹殺することによって、国務省のライス長官や国防省のゲーツ長官は日本を意のままに操り、自衛隊を将来アメリカが『選んだ』戦争に行かせる為には国民投票法案を英語翻訳する必要があるからです。しかし、残念ながら全くの空クジでした。

最終的にTimes、US News & World Report、Newsweekといった週刊誌のそれぞれ4月30日号、5月7日号、5月14日号で安陪首相の4月27日、28日の訪米の記事を見つけました。ブッシュ安倍会談の内容をこれらの雑誌で読めると思いましたが、一体何が書いてあったと思いますか?何も書いてないのです。国民投票法案や憲法9条改正の話、日米安保関連の話は一切報道されていませんでした。

Newsweek誌の4月30日号は安倍首相の訪米直前に発行されましたが、安倍氏とのインタビューに一頁紙面を使用していました。大きな見出しに『責任を果たす』とかかれていました。内容は第二次大戦中の従軍慰安婦のことでした。New York Timesは4月29日に小さな記事を載せていましたが、それも従軍慰安婦問題でした。

これでお分かりいただけるでしょう。アメリカにいては日本の憲法を取り巻く環境や、その重要性というのは全く分からないといっても過言ではありません。世界で何が起こっているのか重要なところは何もわからず、あるのはハリウッドスターのスキャンダルや便秘解消の最新情報、ビックマックの新しいトッピングのニュース、ガソリン食いのSUVの宣伝といったくだらないものばかりです。

3:2001年に政権をとるや否や、ブッシュのネオコンギャング達はクリントン大統領時代に締結した対北朝鮮1994年枠組み合意を破棄しました。カーター元大統領の努力を無にしてしまう行為でした。

4:アメリカのみならず世界の石油依存は麻薬密売と同様に軍事行動で解決できる問題ではありません。しかし、まだアメリカはこの深刻な問題を軍事制裁で解決しようとしています。まず、湾岸地域で石油戦争を展開していますし、中南米ではアメリカの麻薬中毒者の需要を満たす麻薬を栽培している農家を攻撃しました。何故国内の麻薬問題がこんなに深刻なのか?という抜本的な問題解決をしようとはせず、自分たち自身の麻薬問題への是正措置を見つけたのです。

5:Green Technology by Design: A New Paradigm for Engineering Education for Sustainable Developmentという論文がwww.article9society.orgに掲載されています。1994年にNATOが主催したハンガリーブタペストでの科学プログラム会議で発表した論文です。

6:ジェレミーベンサムはイギリスの哲学者、法学者、政治理論家です。彼はイギリス国会の立法問題に対応する必要もあって、功利主義という規範的倫理学論理を展開しました。
その思想はジョンミルに受け継がれていきます。功利主義では最大多数の最大幸福がモラルの基本的、自明の原則であるということ唄っています。ベンサムは幸福を快楽と不幸を痛みと結び付け、倫理の数学として快楽、苦痛計算を編みだしています。

7:私はピーターバーンズが新作の中で紹介した『commons:公共物』の考えに賛同します。(Capitalim,3,0: A guide to reclaiming the commons) p4-p5には次のようなことが書かれています。

公共物(Commons)というと動物が草を食んでいる野原を思い浮かべるかもしれません。それは古臭い考え方ですし、私の意図するものではありません。Commonsという言葉を総称として使っています。例えば『Market:市場』とか『State:国』といった感じです。つまり『Commons』とは先祖から私達が受け継いだもの、または皆が一緒に作り上げてきたものなのです。この『Commons』のいう財産には二つの特徴があります。まず、財産は『Gift』
であり皆で共有しなければならないこと。『Gift』とは個人ではなくコミュニティーの一員として受け継いだもので、水、生体系、言語、音楽、休日、お金、法律、数学、公園、インターネットすべてが『Gift』なのです。この多様性に満ちた『Gift』は3本の支流:自然、コミュニティー、文化に分かれる大河です。『Commons』の財産としてのもうひとつの特徴は、皆が協力してそれを保全していかなければならないということです。将来の世代が私達と同じように幸せに暮していくためには是非とも必要なものだからです。つまり、現世代が『Giftはここでおしまいだ』という権利はどこにもないのです。この共有された責任は経済的な意味での財産とは相容れない倫理的要素を含んでいます。『Gift』を管理していくためには次世代のことを常に念頭に入れておかなければなりません。到底市場主義にはない考えです。

8:チャールズオバービー:『将来を安く見積もるな(仮訳)』の論文より。人間の顔を持つ資本主義についての国際平和を愛する哲学者会議

9:FCNL(Friends Committee on National Legislation)の『US Nuclear Buildup』 Washington Newsletter 2007年5月No717

10:FNCLはRRWへの反論として元民主党上院議員のサムナン氏の言葉を引用しています。『もし今の世の中で議会がRRWにゴーサインを出すようなことがあれば、アメリカの同盟国から誤解を受けることになり、敵国につけこまれ、核兵器の拡散と使用を食い止めようとしている努力は水泡に帰し,イラン、北朝鮮に対する決議を推し進めていくのは困難を極めることになるであろう。』

11:この文書は1990年代初頭の国務省のポール.ウォルフォウィッツの考えに端を発するもので、NNSで同時多発テロの後に発表されました。ブッシュ第二次政権で国防総省のラムズフェルド長官の下で次官を務めたあのウォルフォウィッツです。彼こそが『衝撃と畏敬の戦略』発案の張本人でもあり、日本への武器輸出のセールスマンでもあり、明日をも知れぬ命の世銀の総裁です。何故明日をも知れぬなどというか?というと、彼は『ガールフレンド』の給料を上げるために職業人としてあってはならぬ行動をし,クビになるのは時間の問題だからです。ウォルフォウィッツ、チェーニー副大統領,ブッシュ大統領、ネオコン側近らが偏ったイデオロギーで『衝撃と畏敬作戦』に国民を引きずり込み先制攻撃を行なったに違いなく、そんな政治家は国際刑事裁判所で裁かれるべきなのです。しかし、ウォルフォウィッツが何をしたにせよ、世界の舞台から引きずりおろされてネオコン手法で世界を惑わすことがないであろうことは何よりだと思います。

12:The Bulletin of the Atomic Scientists  2002年7月8月号 p35,37には,アメリカの『ならず者国家』としての資質として、どちらについても詳細に説明がなされています。NSSに近隣国を脅かす国家はならず者国家であると定義されていますが、これを読んだ時、北朝鮮人は核を含んだ様々な威嚇手段を過去50年取り続けてきたアメリカをどんな目で見ているのだろう?また、アメリカがニカラグアの港を爆破し、それによって国際裁判に訴えられても無視をした時、サディニタス(ニカラグア極左グループ)は何を思ったのだろうと考えずにはいられませんでした。この悪質ないたずらはレーガン時代の1980年代に中米の政府転覆をもくろんで行なわれました。LafeberのInevitable Revolutions(1984)に詳しく説明してあります。

13:ここでいうボルトンとは、あのブッシュが国連大使に任命したボルトンです。彼は国連でも鼻つまみものでついに国連からはじき出されました。

14:Harrison Selig1:『Did North Korea Cheat?』
フォーリンアフェアーズ誌2005年1月2月号 P99-109

15:このF-18戦闘機は、エネルギー問題にも関連します。以前に私の愛車ホンダCRX85年モデル(1ガロンで40マイル走行)の石油消費とF-18のそれを比較してみました。残念なことに今回はF-18の正確な消費量を忘れてしまったのですが、インターネットで検索する時間がなくてわからないままになっています。しかし、F-18は最高燃費でも1時間で5000ガロン消費していたと思います。では、かなり低く見積もって2000ガロンとして、ホンダCRXと比べてみましょう。F-18が1時間に消費する燃料があれば,ホンダ車は世界(2万5千マイル)を3周以上できます。B-29の元パイロットですからB-29の積載能力はよく知っています。6,400ガロンです。沖縄嘉手納基地から朝鮮半島に戦闘機を飛ばした際、6,400ガロンの燃料はほとんどなくなりました。北朝鮮までの道のりを往復するごとにホンダCRXなら世界10週できる燃料を食いつぶしていた計算になります。

16: オバービー 国弘、桃井:2005年地球憲法第9条 たちばな出版